「そろそろ知っておいたほうがいいなシリーズ第1弾」の第一歩として、『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』を読んだ。面白く、予想より真面目というか真摯な本。
まず、俺がどういう読者なのかというと、コンサルとの業務的な接触が無く、ふわっとしてゴツゴツした幻 のような存在感を感じている。「こんな資料作ってたらコンサルだったら詰められてそう」「なぜ我々はコンサルでもないのにこんなことを……」のように、概念上の参照点として機能している。どこかから得てきた偏見の塊。
特に事前の印象が覆ることはなく、より補強された感じ。人月商売とかプロジェクトマネジメントとか決裁権者を意識したりとか、割と身近な枠組みに全てがぎゅうぎゅうに詰め込まれている感じで、そこからはみ出た部分も含めて理解しやすかった。その名の通りマニュアルになってはいないとしても、とても丁寧に書かれている。
例えば、ワインバーグとか?を読んでると「そう整理してそう言って皆に通じるなら苦労しないわけよ」みたいな悲しさがあるんだけど、言われる側と言う側の双方で「言って通じない」という状況を飲み込んできた経験と、それでもプロジェクトを進め、それでも生き残ってもらうために手を尽くそうとする意志が本書を書かせている。秘訣があるというよりは、単に全力で向き合うしかなく、そのための例示がある。愛だよな、これ。
愛が良いものかどうかは置いとくとしても、長時間労働が解消された後に成立させることが可能な形態なのかは怪しそう。だから書かれているのだろうけど。そして、新卒とかに伝わるのかどうかは疑問だけど、それをサポートすべき立場の人には伝わるはずで、それこそ長時間労働を前提とした環境で無意識に成立していたものを別の形で実現させるためには良い出発点になりそう。ほんまか?ちょっと適当なことを言っていますが、そう言いたくなる感嘆があります。
このあたり、自他を変化させられることへの希望と辛抱があり、これがコンサル(業界?)への新しい印象として加わった。もちろん無理も感じるのだけど、だから「サバイバル」という語を掲げているわけで、そこが誠実で良い。
一つ気になったのは、事業会社の社長は孤独だからコンサルが大局的な戦略の相談相手になれると良いみたいな話があって、業態の理想形の一つを示す素敵な話にも見えるけど、そういう相手が社内にいないこと自体が解決すべき問題のようにも思える。寄り添っている場合なの?って。もちろん実際には俺自身でツッコミを入れられる。事業会社に飛び込んでいく人もいっぱいいるだろうし、コンサルとして経験を積み続けることで言えるようになることもあるだろうし、コンサル側の社内リソースを使えたほうがいいだろうし。でも気になっちゃう。
なんで気になるかっていうのは結局、「なんでコンサル続けてるの?」ってことかもなあ。「そこに情熱があるのねー」「業態の成立自体に関与してるわけじゃないもんね」とかで普通は納得できるはずなんだけど、それ以上の答えを求めてしまうっぽい。おそらく、書かれてることではなく、書かれていないことが気になっている。
たぶん関連する話として、「俺は企業というものにここまで興味持てないな~」という感想があった。大企業の仕組みとか実態は、この文明の偉大な成果であって、現代人が興味を持ってしかるべき対象であるはずだ。そこに興味を持てない門外漢からすると、大きな謎になるんだろうね。そして俺は他人の興味そのものには興味がある。もちろん人それぞれの執着はあるだろうけど、本書としては「まず生き残れ、話はそれからだ」という答えになりそう。
もう何冊かコンサル本を読んでみて、彼らの技術と精神と生態を学んでみる予定。